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ビーズミルトラブル集4:単純ミス

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ビーズミルトラブル集4:単純ミス

ビーズミルの運転は単純なミスが発生します。単純なミスはほとんどが初歩的なミスであり、サービス員が駆けつけて原因が分かると唖然とすることも少なくありません。

単純ミスの例

1.温度制御

ホースが折れていて通水不能

正常運転をしていたミルが、突然スラリーが高温度になり安全装置が作動して停止しました。ミル本体と配管各部の点検を行った結果、冷却水のホースが折れていたために通水不能でジャケットの冷却が行われていませんでした。

通水忘れ

運転を開始してから間もなくスラリーが高温度になり安全装置が働き運転異常で停止しました。点検の結果、冷却水の通水忘れでした。運転に馴れたころに、うっかりミスでトラブルが起きるケースが多いです。

冷却水の供給忘れ

パス運転で日中作業を行っていました。冷却水はチラーユニットで低温度にして循環運転をしていたことから、作業終了時は冷却水のバルブを閉じていました。うっかりミスで冷却水供給バルブを閉じたまま運転したため、運転開始後まもなくミル内のスラリー粘度が増粘するとともに温度が急上昇しました。このためギャップセパレーターのスリット部が熱膨張で狭くなり、ミル内圧力が急上昇してギャップセパレーターを破損してしまいました。

2.ビーズミルの認識不足

化学工学が専門の生産技術者から、「他社の竪型ビーズミルを導入したが、満足した製品ができないのは何故だろうか」と質問されました。運転状態を確認したところ、ビーズの流動化はスラリーの流速によって流動層化して砕料を粉砕することだと考え、スラリーを大量供給しているが不満足な生産とのことでした。
ビーズの流動化は、撹拌機構の回転による遠心力がビーズに運動エネルギーを与えていることを説明して運転指導を行った結果、粉砕効果が改善されて目標の粒子径に近づきました。ただ、スラリー供給量が大幅に減少したことから予定されていた生産量が低下しました。

3.ビーズ量の不足

「テスト用バッチ式ビーズミルで分散テストをしているが、思うように分散できない。なぜだろうか。」ということから運転条件を調べたところ、処理液回収量に重点を置いたのでビーズとスラリーの比率を20%:80%で運転していました。
バッチ式ビーズミルの粉砕、分散効果はビーズとスラリーの比率は標準で50%:50%です。ビーズが45%以下になるとビーズによる砕料粒子の捕捉確立が低くなるため、粉砕・分散効果が急速に低下します。ビーズ充填率が20%ではほとんど分散ができません。

4.溶剤不足

テスト試料が極秘ということから、ユーザーが溶剤を持参して自ら調合してもらいましたが、溶剤不足でスラリー化できませんでした。機密保持ということからこうしたケースが増えています。

5.高粘度でテストが不可能

試料の品名と配合順序が秘密ということで、ユーザーが自社でスラリーを調合して持参しました。B型粘度計がスケールオーバーするほどの高粘度スラリーだったことから、ポンプアップができずテストが出来ませんでした。粘度的には3本ロールによる分散・粉砕が可能なほどでした。

6.硬い粗大粒子が噛み込み

ギャップセパレーターのスリット隙間を100μmに設定したビーズミルのテスト運転で、固い粗大粒子がスリットに噛み込みギャップセパレーターを急速に摩耗させました。
ビーズミルの処理前最大粒子径は200μmとしていますが、テストで持ち込まれた処理前粒子には300~500μmの粗大粒子が多数存在していました。粗大粒子はミル内で粉砕されていますが、出口付近では100~150μmの粒子があったことからこの粗大粒子が摩耗の原因となりました。

7.”だま”の影響

ユーザーが自社でスラリーを調整して送ってきた処理物をテストしました。スラリーを調整してからテストを行うまで、週末を挟んだことから処理物に沈殿物が多く見られました。粘着性がある処理物で、沈殿物には”だま”が多く混入していました。
運転を開始してから短時間でミルから吐出しなくなりました。分解・点検を行ったところダイヤフラムポンプと配管の曲がり部、ギャップセパレータースリット周辺に”だま”と処理物がへばりついていました。”だま”を除去して再運転を行った結果、正常な運転ができました。

アイメックスでは、機械を末永く使用していただくために、定期メンテナンスや点検をお勧めしています。
どんな小さなことでもまずはご相談下さい。
詳しくは、アフターフォローのページをご覧下さいませ。



次回の内容は、このような単純な操作ミスを防ぐための日常点検についてです。是非そちらもご覧ください。

前後の記事はこちら

単純ミス防止の日常点検

点検の目標、ビーズミル日常点検項目

ビーズミルトラブル集3:設計

チラーユニットの能力不足、混合溶剤によるOリングの劣化、など。

ビーズミルトラブル集2:異常現象

ミル内異常流動減少、微粒子化による物質分離の影響、など。

ビーズミルトラブル集1:運転操作

単純な機械なため、きちんと対策を取れば非常に効率の良い処理が可能です。

<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会


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