ビーズミルとは?(原理・構造)
ビーズミルとは、ビーズ(media)を使って粉体をナノ分散・微粉砕する媒体撹拌粉砕機です。
ビーズミルは粉砕室(ベッセル)の中に、対象物(粉体、スラリー)とビーズを入れて撹拌します。撹拌機構(アジテータ)を高速回転させることで発生した遠心力によって、エネルギーを与えられたビーズは砕料粒子に作用して粉砕します。
ビーズミルの構造
ビーズミルには、湿式粉砕と乾式粉砕があります。ここでは弊社の湿式ビーズミルを例にご紹介します。湿式ビーズミルは、粉体と液体の混合物であるスラリーとビーズを入れて撹拌し、粉砕、分散を行います。 アイメックスビーズミルの撹拌機構はディスク型です。ビーズの分離方式には、1.遠心分離、2.ギャップセパレーター、3.処理後にフィルターによる別工程分離を採用しています。下図のビーズミルは、セパレーションスリットを利用したギャップセパレーター方式でビーズを分離し、スラリーを回収します。
湿式ビーズミル内で起こっていること
処理物が「粉砕」または「解砕」されて、溶媒中に「分散」されます。
エネルギーを与えられたビーズが粗粒子に作用し、ずり応力、せん断応力、摩擦力、衝撃力によって粉砕されます。一般的に大きいビーズ(Φ0.5~2.0mm程度)を使用して、処理する場合が多いです。
粉体は小さくなればなるほど、凝集する傾向があります。小さいビーズ(Φ0.015~Φ0.5mm程度)を使った処理(ソフト分散)を行う必要があります。
イメージとしては、お湯の中に抹茶の粉末を入れてかき混ぜるイメージです。長時間経過しても沈降しない、ナノ粒子のまま凝集しないスラリー生成にAIMEXの技術がお役に立ちます。
湿式・乾式ビーズミルの対応粒子径比較
湿式のビーズミルは、処理前の粒子径D99=数百μmのものを、D50=数十nm台まで処理する装置です。ナノ領域~サブミクロン領域の分散・解砕に威力を発揮する装置ということになります。乾式ビーズミルはもっと大きいレンジで、ミリオーダーのものをミクロンサイズまで粉砕します。世間一般には乾式粉砕というのは「3μmの壁」があり、サブミクロン台まで粉砕するのが難しいとされています。あるいは1次粒子がナノ、サブミクロンまで粉砕できているかもしれませんが、乾式は粉が凝集しやすいため、凝集体として存在して結果3μm前後で停滞してしまうことが多いです。
そのため、乾式ビーズミルはミリオーダーからミクロンサイズまで粉砕を得意とし、湿式ビーズミル後の乾燥工程の削減等に寄与します。
ビーズミルとボールミルの違いについて
ビーズより大きい玉(ball)を使った媒体粉砕機はボールミルと呼ばれています。ボールミルの歴史は古く、日本では1935年頃に商品化されたようです。ボールミルは、回転している容器の中にボールとスラリーを入れて粉砕処理を行います。原理は同じですが、ボールミルよりもビーズミルの方が100倍~500倍もの非常に強いエネルギーを持っているため、ビーズミルの方が粉砕効果は高くなります。
粉砕機種類 | ビーズミル | ボールミル |
---|---|---|
メディア粒径 | φ0.015~2.0mm | φ10.0mm~50mm |
容器への充填率 | 70~85% | 30~40% |
メディア個数 | 100,000個 | 100個 |
メディア1個の質量比 | 1 | 1000 |
衝撃力 | 100~500G | 0.5~1G |
処理イメージ |
湿式粉砕ビーズミルのご紹介
ビーズミルの処理実績
処理物 | 用途 |
---|---|
酸化チタン | 顔料、着色料、光触媒、オフセット印刷、化粧品 |
カーボンブラック | ゴム製品補強、塗料、磁器記録媒体への添加剤、電池材料 |
チタン酸バリウム | セラミックコンデンサ、積層コンデンサ |
アルミナ | セラミックス、研磨剤 |
樹脂 | 電池材料 |
ビーズミル技術資料~もっとよく知りたい方へ~
Q.
どこまで粉砕・分散できますか。
A.
金属酸化物ではD50で20nm前後の実績があります。
Q.
どのくらいの粘度で処理できますか
A.
ニュービスコミルNVM型であれば、10万mPa・s近くまで可能です。
Q.
ビーズミル装置はどのように選べばいいですか。
A.
処理前と目標粒子径からビーズ径を設定し、そのビーズ径に対応するミル形式を選定します。
粘度や沈降性など、ビーズ径以外のパラメータもありますので、テストによって複合的に考え判断します。
Q.
ビーズミルとボールミルの違いは何ですか。
A.
メディアの粒径と充填率、及び衝撃エネルギーが異なります。
主にビーズミルではφ0.015~2.0mm、ボールミルではφ10.0~50mmのメディアを使用します。
またビーズミルは充填率と運動速度がボールミルより大きい為、捕捉率や衝突回数が圧倒的に高く、粉砕力も強く処理時間も短縮されます。