ビーズミルとは(原理・構造)
ビーズミルとは、ビーズ(media)を使って粉体をナノ分散・微粉砕する湿式の媒体撹拌粉砕機です。
ビーズミルは粉砕室(ベッセル)の中に、粉体と液体の混合物であるスラリーとビーズを入れて撹拌します。撹拌機構(アジテータ)を高速回転させることで発生した遠心力によって、エネルギーを与えられたビーズは砕料粒子に作用して粉砕します。
ビーズミルの構造
弊社のビーズミルを例にご紹介します。弊社のビーズミルの撹拌機構はディスク型です。
ビーズミル内で起こっていること

処理物が「粉砕」または「解砕」されて、溶媒中に「分散」されます。
■粉砕
固体粒子にビーズによる粉砕エネルギーを投入し、粒子の大きさを減少させて新しい表面を作ること。エネルギーを与えられたビーズが粗粒子に作用し、ずり応力、せん断応力、摩擦力、衝撃力によって粉砕されます。一般的に大きいビーズ(Φ0.5~2.0mm程度)を使用して、処理する場合が多いです。
■解砕
凝集粒子を機械的なエネルギーでほぐすこと。粉体は小さくなればなるほど、凝集する傾向があります。小さいビーズ(Φ0.015~Φ0.5mm程度)を使った処理(ソフト分散)を行う必要があります。
■安定分散
粉砕、解砕した粒子を溶媒中にムラ無く均一に拡げ、安定化させること。イメージとしては、お湯の中に抹茶の粉末を入れてかき混ぜるイメージです。長時間経過しても沈降しない、ナノ粒子のまま凝集しないスラリー生成にAIMEXの技術がお役に立ちます。
ビーズミルの対応粒子径

湿式粉砕のビーズミルは処理前の粒子径D99=数百μmのものを、D50=数十nm台まで処理する装置です。
乾式はもっと大きいレンジで、ミリオーダーのものをミクロンサイズまで粉砕します。世間一般には乾式粉砕というのは「3μmの壁」があり、サブミクロン台まで粉砕するのが難しいとされています。あるいは1次粒子がナノ、サブミクロンまで粉砕できているかもしれませんが、乾式は粉が凝集しやすいため、凝集体として存在して結果3μm前後で停滞してしまうことが多いです。
乾式に比べると湿式粉砕のビーズミルは、ナノ領域~サブミクロン領域の分散・解砕に威力を発揮する装置ということになります。
ビーズミルとボールミルの違いについて
ビーズより大きい玉(ball)を使った媒体粉砕機はボールミルと呼ばれています。ボールミルの歴史は古く、日本では1935年頃に商品化されたようです。ボールミルは、回転している容器の中にボールとスラリーを入れて粉砕処理を行います。原理は同じですが、ボールミルよりもビーズミルの方が100倍~500倍もの非常に強いエネルギーを持っているため、ビーズミルの方が粉砕効果は高くなります。
粉砕機種類 | ビーズミル | ボールミル |
---|---|---|
メディア粒径 | φ0.015~2.0mm | φ10.0mm~50mm |
容器への充填率 | 70~85% | 30~40% |
メディア個数 | 100,000個 | 100個 |
メディア1個の質量比 | 1 | 1000 |
衝撃力 | 100~500G | 0.5~1G |
処理イメージ | ![]() |
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弊社湿式粉砕ビーズミルのご紹介

研究・開発用ビーズミル
「はじめてのビーズミルはここから」

ナノ分散専用ビーズミル
「さようなら、粗大粒子。」

生産用ビーズミル
高粘度対応
ビーズミルの処理実績
処理物 | 用途 |
---|---|
酸化チタン | 顔料、着色料、光触媒、オフセット印刷、化粧品 |
カーボンブラック | ゴム製品補強、塗料、磁器記録媒体への添加剤、電池材料 |
チタン酸バリウム | セラミックコンデンサ、積層コンデンサ |
アルミナ | セラミックス、研磨剤 |
樹脂 | 電池材料 |
ビーズミル技術資料~もっとよく知りたい方へ~

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