粉砕の種類
粉砕の方式
粉砕には乾式粉砕、湿式粉砕、低温粉砕があります。特殊な粉砕に乾燥粉砕、加熱粉砕などもあります。
乾式粉砕は砕料を空気中や非活性ガス中で粉砕する方式で、破砕から微粒子化まで幅広い範囲で処理ができます。固体に対して直に粉砕の力を加えることができることから、粉砕コストはほかの方式より安価です。しかし、微粒子は凝集しやすく、”3ミクロンの壁”があり、1次粒子が小さくても粉体粒子は3μm以下になりにくいのです。
湿式粉砕は水やそのほかの液体中で砕料を粉砕する方式で超微粒子生成が可能です。しかし、砕料が液体中にあることから処理量が多くなり、粉砕コストは乾式粉砕より高価になります。湿式粉砕には粉砕媒体によるせん断力やずり応力、摩擦力などで粉砕する方法と、砕料同士のずり応力や摩擦力で粉砕する方法、高圧流体を衝突させて粉砕する方法、狭い隙間を通過させて粉砕する方法などがあります。いずれも処理対象粒径は微粒子、超微粒子です。一般的に、到達粒子径は湿式粉砕の方が小さいと言われています。 低温粉砕は、砕料を冷却して低温度で粉砕する方法で、プラスチックのように常温で熱可塑性がある強靭な材料や、常温では弾性体のゴムなどを低温にして脆性域とすることで容易に粉砕を可能にします。
体積粉砕と表面粉砕
粉砕には体積粉砕と表面粉砕の2つの現象があります。粉砕が衝撃力や圧縮力によって行われる場合は体積粉砕といい、固体に機械エネルギーを与えると全体がばらばらに壊れる現象をいいます。
これに対して粉砕が摩擦力やせん断力、ずり応力などによって行われる場合は表面粉砕といわれ、固体に機械的エネルギーを与えると固体の表面からばらばらと砕ける現象をいいます。
体積粉砕 | 表面粉砕 |
衝撃力 → 体積粉砕 |
摩擦力 → 表面粉砕 |
湿式粉砕には粉体を液体と混合してスラリー化し、これを粉砕媒体や砕料同士のせん断力、ずり応力、摩擦力などで粉砕する方法、高圧流体を衝突させて粉砕する方法、狭い隙間を通過させて粉砕する方法などがあります。
これらのうち、粉砕媒体とスラリーを一緒にして撹拌することで、砕料を粉砕する湿式媒体撹拌ミル(ビーズミル)は、粉砕媒体に処理粒子を捕捉させて摩擦力、せん断力、ずり応力などによって粉砕する代表的な表面粉砕です。
破壊応力蓄積期
粉体の微粒子化、分裂破壊過程で大切なことは、分散粉砕機の粉砕力(せん断応力、摩擦力など)σと、粒子の強度(硬さ、凝集力)τとの対応です。
σ>τの場合は、分散粉砕が短時間で可能
σ<τの場合は、分散粉砕が短時間では不可能
これは粉砕操作の短時間処理を対象にした場合です。
構造物に荷重を与え続けると疲労破壊を起こすように、固体に衝撃力、圧縮力、せん断力、摩擦力などの外力を加えたときに応力が固体内部に蓄積されて限界値に達した時、その固体のもっとも弱い部分から破壊が始まりますが、この破壊は時間をかけて力や荷重を与え続ける必要があります。
超微粒子、ナノ粒子ではミル内滞留時間の長さが微粒子化を促進します。
粒子が微粒子化して体積が小さくなると、クラック(※1)や空孔が少なくなることから粒子の強度は大きくなります。
粒子が微粒子化してくると粉砕、解砕が進まなくなり、一定時間の破壊応力蓄積期が必要になるのです。
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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