湿式粉砕における「粉砕・解砕・分散」
湿式粉砕
湿式粉砕は、乾式粉砕とは異なる分粉砕の前処理と、処理目的による粉砕操作の違いや粉砕条件の違い、微粒子・超微粒子が処理対象であることを理解しておかなければなりません。
湿式による粉砕操作は、乾式粉砕にはない解砕・分散処理があります。湿式粉砕では乾式粉砕の1次粒子の粉砕操作とは異なり、1次粒子の粉砕のほかに凝集粒子の解砕、分散操作があります。ビーズミルによる処理操作では、この粉砕・解砕・分散を理解していかなければなりません。おのおのの処理目的によって操作条件が異なるためです。
粉砕
粉砕は固体粒子にエネルギーを投入して、粒子の大きさを減少させて新しい表面を生成する操作です。粉砕の力は圧縮力、衝撃力、せん断力、摩擦力、ずり応力などでそれぞれが複合しながら砕料を粉砕します。粉砕方法は力学的な性質である硬さ、強度、延性、弾性などや粒径、温度、荷重速度などの依存性を利用します。たとえば低温度で脆くなる、水中で壊れやすくなるなどの粉体の性質を利用目的に応じた性質に制御することができる、基本的な単位操作です。粉砕は、粗く砕く(粗砕)、中程度に砕く(中砕)、細かく砕く(粗粉砕)、さらに小さく砕く(微粉砕)と徐々に段階的に粉砕操作が行われます。
解砕
解砕は、凝集粒子に機械的エネルギーを投入して固体の新生表面の生成をほとんど伴わずに、凝集粒子の結び付きをほぐして粒子の大きさを減少させる操作です。
乾式粉砕技術の進歩で乾式粉砕による粉砕で1次粒子がサブミクロンに到達しているものが多くなりましたが、凝集によって数μmの凝集体となっているものが多いです。ビルドアップ法によって生産される超微粒子・ナノ粒子も粉体になると数μmの凝集体となっていることから、粉砕操作と同様な解砕操作は今後ますます多くなっていくでしょう。
凝集粒子には、微粒子同士が面や線で結び付いた結合の強いものと、点やコーナーで接触している弱い結合のものがあり、結合状態によってエネルギーの与え方に違いがあります。
分散
分散は固体物質が繊細な粒子となって、ほかの物質の中にばらばらに広がることで、分散する物質を分散質、分散される物質を分散媒といいます。分散は粉砕と似ていますが1次粒子までも破壊することではなく、1次粒子同士の付着を解離する解砕操作で、粉体粒子を溶媒中で細かく解砕して均一化し安定化を図ることが分散です。粒子が充分に小さく、おおよそ0.1μm以下の大きさと粒子同士が結び付き合わないことが分散の基本条件です。
分散技術は、以下のように要約することができます。
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これによって例えば顔料は着色力や鮮明性などが顕著になります。
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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粉砕・解砕・分散については、こちらのページでも説明しています。簡単な図や動画等でご確認頂けます。
ビーズミルを導入される際の流れをご紹介しています。粉砕・解砕・分散どれをしたいかによって処理条件を決定していきます。
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