粒子の名称解説
固体物質がきわめて細かい粒の集まりとなっている状態が、粉または粉体です。そして、固体物質を構成する繊細な粒を粒子といいます。粒子には大きさ、結合の状態によって色々な名称があります。
粒子の名称
超微粒子
超微粒子は、1つの考え方として1μmから1nmまでの粒子です。超微粒子を構成する原子がかなりの割合で表面に現れ、このことが特異な機能、性質を持つようになります。
1次粒子
粉体生成時にその粉体を構成する粒子で、分子間の結合がそのまま残っているものをいいます。1次粒子が2次的に凝集したものを2次粒子と呼び、さらに凝集し成長して高次の粒子ができます。
サブミクロン粒子
サブミクロン粒子は、1μm以下、0.1μmまでの粒子です。
ナノ粒子
ナノ粒子は取り扱う材質、業界によっていろいろな説がありますが、ビーズミル処理粒子に対する考え方の1つとして、平均粒子径が50nm以下の粒子です。
ビーズミルによる分散粉砕は、平均粒子径が50nmでは最大粒子径がおおむね100~150nmであり、平均粒子径が50nm以下の65~75nmでは最大粒子径が200~300nmとなることから、サブミクロン領域の粒子が多くなりナノ粒子とは言い難いとされています。
コロイド粒子
103~109個程度の原子からなる粒子が散らばりあっている状態がコロイド状態で、その粒子をコロイド粒子と言います。固体粒子が液体中で沈殿することなく、コロイド粒子が液体中に分散しているものをコロイド溶液と言います。
凝集粒子
気体あるいは液体中にある粒子同士が何らかの相互作用力によって集合した状態をいい、1次粒子が結び付き合った物が凝集粒子です。
凝集粒子はその結合様式によって凝結(aggregation)、凝集(agglomeration)、軟凝集(flocculation)と言われています。あるいは硬い凝集粒子(aggregat)、軟らかい凝集粒子(agglomerat)とも呼ばれています。硬い凝集粒子は結晶面同士の結合、軟らかい凝集粒子はエッジやコーナーのような点結合です。湿式粉砕ではこの結合様式が粉砕、解砕の可否を決定付ける重要な要素となります。
粒子の表面
固体の内部には多数のクラック(※1)や空孔が存在します。固体の破壊、粉砕そのものは、固体粒子の物性、外力の条件、および気相、液相温度などの雰囲気によって影響されますが、基本的には外力が働くことによって固体は変形し、固体内の微小クラックが活性化して破壊が行われます。外力を加えることによりこのクラックや空孔部分に応力は集中することで粒子は破壊されます。固体物質の破壊は、それらを構成する物質の粒子あるいは粒子群の結合力に打ち勝つ外力が働いた場合に起こります。
粒子が微小化して体積が小さくなると、クラックや空孔が少なくなることから粒子の強度は大きくなります。したがって超微粒子・ナノ粒子を粉砕によって得る時は、粒子の結合状態を把握しておかなければなりません。
※1 裂け目、割れ目
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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