プレミキシングに関わる用語解説
プレミキシングで使用される用語について
プレミキシングはゆるい結合粒子の分離や粗大粒子の粗い破壊を行うと同時に、粉体を充分にぬらして破壊強度を低下させる目的の処理です。また2種類以上の粉体を混合処理する場合は、粉が均一混合となるように、充分に時間をかけなければなりません。不均一混合だと粒子径が小さくなっても後工程の品質に大きな影響があります。プレミキシングに係る重要な要素を紹介します。
粉体
原料粉体には無機化合物、有機化合物、無機・有機金属化合物などがあります。最近は炭水化物、食品、樹木や樹皮などもあります。
ビーズミルでは処理前粒子径を比重の大きい物でMax30~50μm、比重の中くらいの物でMax100μm、比重の小さい物ではMax200μmを目安としています。これはミル供給配管内の粒子沈降防止のためと、ミル内で微粒子化できずにビーズとスラリーの分離部を粗大粒子として閉塞することを防止するためで、粉体媒体ビーズの大きさがMax3.0mmφであることから、100~200μm以上の粒径になると粗大粒子の微粒子化が遅くなることがあります。粉体には粉体しやすい物、しにくい物があるので事前の調査が重要です。
溶媒
無機化合物(水など)、炭化水素、アルコール、ハロゲン化炭化水素、窒素化合物、その他いろいろな溶媒があります。これらには危険物、毒物、劇物があります。中には腐食性、溶解性の強い物があるので安全管理のため、使用前に安全指針を明確にしておかなければなりません。
スラリー
固体と液体の混合物で泥漿(でいしょう)ともいい、液体の中に固体粒子が浮遊している流体です。粉体濃度が高いとダイラタント流体(※1)、ビンガム流体(※2)、非ビンガム流体(※3)などのいずれかになります。懸濁液を撹拌すると液状になり、静置するとゲル化する現象をチクソトロピー(ギリシャ語で、触れれば変わる)と呼ぶが、スラリーの大部分がこれに相当します。
だま
スラリー化は「だま」ができないように注意しなければいけません。「だま」は粉の小さな塊の集合体で、内部は乾燥した粉と空気であり、粉の粒子内にも空気が存在しています。
<だまの模式図>この「だま」をミル内に供給すると、「だま」は破壊されて内部の空気や乾燥している粉体がミル内に拡散してビーズに付着し、あるいは乾燥している粒子がぬれている粒子に付着するなどで粉砕効果が著しく低下すると同時に、粉砕されずにビーズ分離部に到着した「だま」がスラリーとビーズの分離に悪影響を与えます。
※1 急激な変形に対しては固体的に振る舞い、 ゆっくりとした変形に対しては流動性を示すもの(例)小麦粉を水に溶いたもの
※2 ある程度力を加えると流動するもの(例)ケチャップ、歯磨き粉
※3ずり応力が降伏点以上で粘度がずり応力の増加と共に減少(例)塗料、印刷インキ、チョコレート、クリーム
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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