濡れと表面張力
濡れ
「濡れ」というのは表面張力と密接な関係があります。表面張力の大きい・小さいは接触角といわれる角度で表します。例えば、プレートに液体をたらしてほぼ球体を維持しているものは接触角が大きく、「濡れ」が悪い状態です。
表面張力
表面張力というのはなぜ発生するのでしょうか。それを下図で説明しています。
表面に存在する分子A(図では赤色)は、左右と下から分子間の相互作用を受けますが、表面からは何も受けません。一方、物質の中の方にある分子B(図では緑色)は、自分の周囲から等しく相互作用を受けています。表面側にいる分子はエネルギー的に不安定で、これを表面自由エネルギーが高い状態と言います。表面自由エネルギーが高い場合、低い状態で安定したがるので、表面を小さくしようとします。これが、表面張力が発生する原理となります。
固体の表面張力
表面張力というと液体特有のイメージだと思いますが、固体の表面分子にも表面張力はあります。ただし液体のように自由に形状を変えることができません。表面のエネルギーが高くて不安定な時、液体のように形状を変えることができないため、表面に他の粒子を付着させることで安定化しようとします。表面張力(表面自由エネルギー)が高ければ高いほどくっつきやすくなります。
表面という言葉は、厳密には気体と接している部分をいいます。よって固体と液体が相互作用する場合は、表面張力ではなく界面張力という言葉で置き換えられます。ビーズミルでの処理は粉(固体)と溶媒(液体)ですので、界面自由エネルギーを考えることになります。それによって濡れ性が決まってきます。
固体の表面張力の測定方法の1つが臨界表面張力の測定です。固体は、自身の臨界表面張力より小さい表面張力の液体に対して完全に濡れることができます。例えば、界面張力を測定したい個体に、表面張力が分かっている液体を垂らし、接触角cosθを取ります。縦軸にcosθ、横軸に表面張力としてプロットし、cosθ=1(完全に濡れた状態)がその固体の臨界表面張力です。
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