ビーズミルの歴史
ビーズミルの歴史
ビーズミルの歴史は創成期(1952年~1972年)、拡大期(1973年~1999年)、成熟期(2000年~)に分けられます。ビーズミルの第1号機は1952年に発表された米国デュポン社のサンドグラインダーです。
1963年には日本の五十嵐機械製造(現AIMEX)がデュポン社の基本技術を基に自社技術を加えて、日本におけるビーズミル第1号機であるサンドグラインダーを完成させました。
同年、ドイツのネッチ社がアニュラー型のピンタイプミルを開発し、さらに同社は1964年に偏心ディスクミルを開発しました。そしてドイツのドライス社が1964年にパールミルを開発し、スイスのWBA社が横型ミルのダイノーミルを1968年に開発しています。
バッチ式媒体撹拌ミルは、1970年、1972年に日本の五十嵐機械製造が高速回転、高周速で小径ビーズが使用できるテスト用4,6筒式サンドグラインダーとバッチ式サンドグラインダーを開発しました。
1952年のデュポン社サンドグラインダーから1972年の五十嵐機械製造のバッチ式サンドグラインダーが開発された20年間はビーズミルの創成期と言えるでしょう。今日まで種々な機種が発表されて来ましたが、大部分が創成記のそれぞれの機種が基本型となっています。
バッチ式ビーズミルとも言えるものには(そのように呼称することに異論もあると思いますが)1920年代に米国ユニオンプロセス社が開発したアトライターがあります。1940年代に発売しました。アトライターはボールミルの回転するドラムの運動を撹拌操作に置き換え、ボールのずり応力を保持したものです。したがって比較的低速回転、低周速でビーズ径が大きいのが特徴です。最近は小型機のボールが小径化しているようです。
1973年以降、後発のビーズミルメーカーが相次いで誕生して、創成期のビーズミルを基本型として改良・改善が加えられた新機種が次々と発表されました。この当時はビーズミルの拡大期と言えます。
1988年以前は連続式ビーズミルの最小粉砕ビーズ径は1.0mmφが一般的で、処理粒子径もシングルミクロンが一般的でしたが、1988年に0.3mmφビーズの使用が可能なビーズミルが実用化されたことから処理粒子径は一気にナノ粒子製造が可能になりました。
2000年以降、新しい考え方による新型機が次々と開発されて市場に登場しています。粉砕の低コスト化、洗浄性を重視したビーズミルについてミルメーカー各社が真剣に取り組んでいます。また、50~30μmφの極小ビーズが使用できる連続式ビーズミルの開発に取り組むことによって、凝集粒子のナノ粒子分散を実現するなど、この時期はブレークダウンによって原子、分子に近づいていることから、まさにビーズミルの成熟期と言えます。
弊社の製品開発の歩みはこちらをご覧下さい。
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
■ 次の記事「ビーズミルの機械的な性能要因と製品の品質要因」≫
■ 前の記事「プレミキシングに関わる用語解説」≫
■ ビーズミル技術資料一覧ページへ ≫