ビーズミルの運転方式選定~メリットとデメリット~

ビーズミルの運転方式
ビーズミルの運転方式は大きく分けて3つあります。
運転方式 | 管理方法 | メリット | デメリット・注意点 |
---|---|---|---|
循環運転![]() |
時間 | ・処理効率アップ ・シャープな粒度分布(注意) ・タンク1つで手間いらず |
・圧力上昇に注意 ・ビーズの偏り(摩耗増・発熱増)に注意 ・目標到達までの循環回数と均一性の関係 ・粗大粒子残の可能性 ・N倍処理≠時間N倍 |
パス運転![]() |
パス 回数 |
・1パス処理でシンプルな生産ライン ・N倍処理=時間N倍 ・未処理粒子がない |
・多パス運転時はタンク切替が必要(自動化可能) ・初期コスト(撹拌機、タンク等)増 |
バッチ運転![]() |
時間 | ・管理項目が少ない ・シンプル構造のため安定稼働 ・少量検討が可能 |
・生産性が低い |
1つ目は循環運転です。タンク・ポンプ・ビーズミルで構成される運転方式です。循環運転では、処理時間で管理されます。
2つ目にパス運転です。タンクを2つ用意しビーズミルを何パス通過したか、つまりパス回数で管理する方式です。
最後にバッチ運転です。ビーズミル単独で運転し、運転時間で管理する方式となります。
循環運転のメリットは、タンク一つで簡単に運用ができることです。また、任意の粒子径で制御することができます。メリットとしては、タンク1つで手間がかからず、簡単に出来るという点です。近年では、循環回数を増やすことで、ビーズミル処理の効率を向上させ、タンク内スラリーを均質化することでシャープな粒度分布が得られる大量循環運転方式が採用されるケースが目立ちます。しかしながらビーズミル内の圧力上昇、ビーズの偏りに伴う摩耗増や、発熱増、処理品質の悪化などに注意が必要です。また、処理時間が短い場合、循環運転は不利になる傾向があります。一般的には10パス以上させることで均一性を高くします。2~3パスで目標に到達する場合、タンク内の均一性があまり高くない状態(粗大粒子が残っている可能性)を考える必要があります。その場合は、パス運転に軍配が上がることもあります。
循環運転の注意点としては、N倍処理≠N倍時間という点です。1Lで条件出しをし、1時間で処理が完了したとします。ミルとポンプの条件を変えずに仕込み量を10Lにしたら10時間で出来るかというと、そういうわけではありません。仕込の量が増えると仕込の均一性が低くなり、10倍以上の時間がかかるケースもあります。循環運転の場合は、このように均一性の問題が出てきます。
対して、パス運転はこのデメリットの部分が逆にメリットになります。1回条件出しの条件を決めてしまえば、仕込量によって時間の管理を変える必要がありません。ただし、タンクや撹拌機が2基必要になります。
循環運転とパス運転は処理物や目的に応じて、適切に選定する必要があります。
バッチ式はラボ機を中心に採用される運転方式で、ポンプが不必要であるため菅理項目が少ないこと・部品点数が少なく、試験が簡単にできることが最大のメリットです。圧力上昇やミル内の偏りなど考えなくて良いため、設定した回転数やビーズ径で処理ができるのか、またはできないのか、という判断に集中できます。シンプルな構造であるため、特に安定稼働が可能です。また、少量スラリーからビーズミルの検討ができることも大きなメリットです。デメリットとしては、生産性が低いことが挙げられます。
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