ビーズミルの分類~撹拌構造とベッセルの向き、ビーズ分離方式~
ビーズミルは、攪拌構造(アジテーター)を高速回転することにより、運動エネルギーを得たビーズがスラリー中の砕料粒子を捕捉し、粉砕・分散する装置になります。今回は攪拌構造(アジテーター)の形状による粉砕・分散力の違い、ベッセル(粉砕室)の向きによる操作性、分離方式それぞれのメリットデメリットをご紹介致します。ビーズミルの撹拌構造(アジテーター)の形状
攪拌構造とは、ベッセル(粉砕室)内に充填されたビーズとスラリー中の砕料粒子を攪拌する部分です。攪拌されたビーズが砕料粒子に作用し、ずり応力、せん断応力、摩擦力、衝撃力、またはビーズとビーズの間に生まれる流体力によって粒子が粉砕・分散されます。攪拌構造には様々な形状があり、粉砕力・分散力に差が出てきます。
弊社のビーズミルNVMはディスク型ですが、その他にもピンカウンター・ピン型、アニュラーギャップ型と呼ばれる攪拌構造があります。以下攪拌構造の違いによる特徴をまとめました。
攪拌構造 | ディスク型 | ピン型 | アニュラ―型 |
---|---|---|---|
図 | |||
特徴 |
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ピン型は、ディスク型と比較するとエネルギー密度が高い、つまり粉砕力が強いという特長があります。それに伴い発熱と摩耗は多くなります。
アニュラーギャップ型は、更にエネルギー密度が高くなるため、ディスク型、ピン型よりも発熱・摩耗が多くなります。スケールアップが難しいという通説もあります。処理が行われるのは、ローターの外側で、大型機でも外側でのみ処理が行われるというイメージです。つまり、良い結果をもたらす領域の体積が稼ぎづらいので、スケールアップ性が高くないと言われています。発熱の制御もスケールアップすればするほど難易度も増します。ローターが大型化する傾向もあるので、セラミックで作っているとコストが上がる、というデメリットもあります。
ベッセル(粉砕室)の向きについて
ベッセルとは、ビーズが充填される場所です。ベッセルの向きには竪型と横型があります。竪型と横型、それぞれの特徴を以下にまとめました。
構造 | 竪型 | 横型 |
---|---|---|
図 | ||
特徴 |
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当社機種 | Neo-アルファミル サンドグラインダー イージーナノ |
ニュービスコミル スタートラボ |
ビーズとスラリーの分離方式
ビーズミルには、ビーズとスラリーを分離するビーズ分離機構があります。分離方式は、種類がありギャップセパレーターやスクリーンの隙間、または遠心分離を利用してビーズをベッセル(粉砕室)外に出さないような工夫をしています。
ビーズを分離するタイミングは、ビーズミルの運転方式が「連続式」か「バッチ式」かで変わります。ビーズミルにポンプでスラリーを連続的に送りこむ「連続式」では、処理をしながらビーズとスラリーを分離し砕料粒子を得ることができます。それぞれの分離方式により対応するビーズ径や粘度、詰まり難いといった特徴があり、適切に選定する必要があります。「バッチ式」では、ビーズミル運転終了後に別工程で回収するので連続式よりも簡便にビーズ分離を行うことができます。
分離方式によって、処理が可能な粘度やビーズ径が決まっています。以下の表に特徴と対応ビーズ径、メリットデメリットをまとめました。
構造 | ビーズ分離方式 【参考AIMEX機】 |
概略図 | 対応ビーズ径目安 | 長所 | 短所 |
---|---|---|---|---|---|
連続式 竪型 or 横型 |
ギャップセパレーター ビスコミルNVM |
φ0.3~2.0mm | ・高粘度対応 ・確実なビーズ分離 ・目詰まりなし |
・最大吐出量はスクリーンに劣る ・小径ビーズ不可 |
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遠心分離 Neo-アルファミル |
φ0.03~0.3mm | ・小径ビーズ対応 ・目詰まりなし |
・ビーズ流出リスク | ||
スクリーン | φ0.1~2.0mm | ・幅広いビーズ径に対応 ・開口面積大=大吐出 ・確実なビーズ分離 |
・スクリーン目詰まり ・スクリーンは金属製 |
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バッチ式 | 底部スクリーン or 別工程分離 イージーナノ |
~φ2.0mm | ・処理ムラが少 ・条件出しが容易 ・メンテナンスが容易 ・トラブル率圧倒的に低い |
・生産効率低 |
各ビーズ分離方式にはメリットデメリットがありますが、一番の違いは「使用できるビーズ径の目安」です。
そのため、アイメックスでは、トラブルが少ない「バッチ式」を使用してビーズ径等の選定をし、そこから「連続式」のビーズ分離方式を選定するという流れを推奨しています。
>前の記事「1-1.ビーズミルの構造と処理可能粒子範囲」
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