ビーズミルの構造と処理可能粒子範囲
ビーズミルとは
ビーズミルの構造は非常にシンプルです。
粉砕室に充填された粉砕メディア(ビーズ)が、モーターから動力伝達されたディスク(ローター)が回転することによって、激しく撹拌されます。そこへスラリー状の被粉砕物を供給することによって微粒子化を行います。スラリー中の粒子は、ビーズからの作用を受けて凝集体が解砕されたり、あるいは粉砕されたりします。ビーズミル処理は発熱を伴うため、粉砕室の外周には、冷却機構が備わっています。また、連続式ビーズミルにおいては粉砕室にビーズ分離機構(例えばセパレーションスリット)が備わっており、処理後のスラリーのみが、ビーズミル出口より排出される構造となっています。ビーズミルの原理は、ディスクからビーズへ運動エネルギーを伝達し、被粉砕物に作用させることで、粉砕・分散がなされます。
ビーズミルが活躍するフィールドは幅広く、ミクロンオーダーの粉砕やナノ分散など、多くの分野で採用されています。
ビーズミルの粒子径対応範囲
湿式粉砕のビーズミルは処理前D99=数百μmのものを、D50=数十nm台まで処理する装置です。
凝集体の解砕であれば、一次粒子径に応じてナノオーダーまでの分散が期待できます。
一次粒子径に限りなく近い良好な分散の例を以下に示します。
ビーズ | φ0.03mm ジルコニアビーズ 70%充填 |
スラリー | 10wt%酸化チタン(水系) |
周速 | 10m/s |
一次粒子径 | 15nm |
こちらは弊社のビーズミルNeo-アルファミル(NAM-1)を使用して酸化チタンを処理した例になります。処理前はD50=1.28μmだったものが、D50=17.6nmまで処理することができました。
粉砕操作の場合は、サブμmオーダーまでの処理事例が多く、ナノオーダーまで到達させるには、多段処理など多くの時間を要することがあります。また、解砕・粉砕操作のいずれにおいても、微粒子化が進捗するにつれて凝集傾向が発現します。適切な分散剤や溶媒選定によって凝集を防止することが必要になります。
乾式はもっと大きいレンジで、ミリオーダーのものをミクロンサイズまで粉砕します。世間一般には乾式粉砕というのは3μmの壁があり、サブミクロン台まで粉砕するのが難しいとされています。あるいは1次粒子がナノ、サブミクロンまで粉砕できているかもしれませんが、乾式は粉が凝集しやすいため、凝集体として存在して結果3ミクロン前後で停滞してしまうことが多いです。粉砕助剤としてアルコールなどを添加し湿らせることで、処理をスムーズにしている場合があります。
乾式に比べると湿式粉砕のビーズミルは、ナノ領域~サブミクロン領域の分散・解砕に威力を発揮する装置ということになります。
>次の記事「1-2.ビーズミルの分類~攪拌構造とビーズ分離方式~」
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