ミル内滞留時間の長短で変わる微粒子化
スラリー供給量とミル内滞留時間
スラリーの供給量はビーズのミル内流動に作用します。処理物のミル内滞留時間の長短はビーズミルの性能に影響します。
スラリーの供給量が少ないと処理物のミル内滞留時間が長くなり、微粒子化が進みますが、時には微粒子化が進みすぎてミル内で凝集します。スラリーの供給量が多いと処理物のミル内滞留時間が短くなることから、凝集せず、粒子が微粒子化する場合があります。
L/Dとミル内滞留時間
かつては、撹拌ミルは連続粉砕でサブミクロンを得る可能性のある数少ないミルでした。滞留時間を長くするためには流通管型としてできるだけミルを長くすることが望ましいと言われたこともあり、ミル内滞留時間を長くする目的でミルの長さL、直径Dの比L/Dを大きくする傾向の時期もありました。この考えは、ミル内を一度通過させることで目標の粒子径を得る時に効果を発揮します。
こうした考えとは別に、微粒子化を追求し、あるいはシャープな粒度分布を要求する時には、処理物を繰り返しミルに供給させることで、ミル内滞留時間を長くする方法が取られています。
タンクは1基のタンクで循環させる方法と、2基のタンクで交互に切り替える場合とがあり、この方法は循環方法やパス方式と呼ばれています。
バッチ処理と連続処理
パス方式や循環方式の選択は、ビーズミルを1~3回通過させることで製品化する場合はパス方式が採用されます。ビーズミルを4回以上も通過させなければならない時には循環方式が選択されることが多いです。
1台のビーズミルでタンクとビーズミル間を循環させる方法は、基本的にはタンクの容量に見合ったバッチ処理方式です。循環方式のバッチ処理で注意しなければならない点は、タンク内スラリーの一部が取り残されて未処理とならないように工夫すると同時に、循環タンク内の壁面に付着するスラリーをいかに防止するかということです。
パス方式のパス回数に見合ったビーズミルを設置すると、処理物の連続処理が可能になると同時に、粗粉砕、微粉砕、超微粉砕と粉砕の進捗状態に合わせて段階的にビーズ径、ビーズ材質の選択が可能となります。1~3パス処理で製品になる大量生産の場合はバッチ式よりも連続式が望ましいでしょう。
2~3パス処理で製品になる場合に、パス回数に見合ったビーズミルを設置すると大量生産では問題にならないが、少量生産では処理製品は満足できても、イニシャルコスト、ランニングコストともに高価となることから、一般的には循環方式で処理しています。
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ビーズミルは撹拌機構の径がビーズミルの動力に対して大きな因子となります。
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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