ビーズミルによる大量生産例
ビーズミルによる大量粉砕処理の代表的な処理物は、重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムです。以下、炭酸カルシウムの粉砕・解砕の具体例について述べたいと思います。
ビーズミルの型式
大量生産に用いられるビーズミルは流通管型の竪型ビーズミルや横型ビーズミルが用いられています。最近では、タンク容量によって処理量が決まる大流量循環式ミルも使われています。
炭酸カルシウムの粉砕
炭酸カルシウムは連続式ビーズミルのサンドグラインダーで、1968年から顔料業界、製紙業界で粉砕・解砕に採用されてきました。
石灰石から製造される重質炭酸カルシウムは、乾式粉砕で小割りして粗砕、中砕、粉砕され5~10μmに粉砕されてから、湿式粉砕で微粉砕、超微粉砕と微粒子化されます。ビーズミルによる微粉砕は、スタート時の平均粒子径はおおよそ5~10μmで、これが1μm前後に粉砕されます。
石灰塊を焼成・水和反応で作られる超微粒子の軽質炭酸カルシウムは、ケーキ状態、乾燥状態では数μmの凝集体です。この凝集体をサブミクロンに解砕するときも竪型ビーズミルや横型ビーズミルが用いられます。
ユーテリティー原単位
重質炭酸カルシウムは原産地によって物性、成分に違いがあります。乾式粉砕による微粒子化の程度は湿式粉砕の処理能力に大きく影響します。そして固形分濃度によっても生産効率に差が出ます。こうしたことから原単位もそれぞれの条件によって著しく変動します。
パス方式、大流量循環方式ともに、ランニングコストは電力がもっとも大きく影響してきます。
プロセスフロー
炭酸カルシウムの粉砕、解砕に用いられているビーズミルの代表的なプロセスフローを示します。
図は、サンドグラインダーによるパス方式です。この方式はパス回数に見合ったビーズミルを設置すると、処理物の連続処理が可能になると同時に、粗粉砕、微粉砕、超微粉砕と粉砕の進捗状態に合わせて段階的にビーズ径、ビーズ材質の選択が可能となります。そして、粘度調整、凝集防止を目的として分散剤の添加は、各ミルの供給口の手前で注入することが可能となり、処理製品の安定的な生産が可能となります。
大量生産の場合、パス方式は付帯設備を含めてプロセスが簡略化できることから、1~3パス処理で製品になる大量生産の場合はバッチ式よりも連続式が望ましいとされています。
<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会
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