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ビーズミルトラブル集2:異常現象

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ビーズミルトラブル集2:異常現象

ビーズミル運転の異常現象

ミル内異常流動減少

固形分濃度15wt%の水酸化アルミニウムを粉砕室容量100Lの横型ビーズミルで粉砕処理を行いました。
運転開始時にミル内の溶媒とスラリーが置換される際、短時間ですが急激な圧力上昇が起きて激しい振動が発生しました。運転終了時の溶媒洗浄の時も、ミル内の水とスラリーが置換される時にも短時間ですが同様な圧力上昇が起き振動が発生した。
小型機ではこのような現象はありません。ミル内で流体の性状が変化する流動状態の変わり目にこうした異常現象が発生します。重質炭酸カルシウム、農薬、防炎剤、感熱剤その他でも経験しています。

粘着性処理物のミル内異常流動減少

スラリー粘度が1.0~1.2Pa・sの処理物は、指で触るとべとつく粘着性がありました。
テスト機では短時間処理で異常が確認できませんでしたが、大型生産機では運転の経過とともに予想しなかった吐出量低下減少がおきました。原因は処理物の粘着力でビーズ同士が軽い付着を起こして、スラリーの流動を阻んだために生じた現象でした。

バインダー添加と圧力上昇

粗粉砕機で調整したスラリーにバインダーを添加して、微粉砕機で処理すると、粗粉砕機では生じない圧力上昇が起きることがあります。処理液粘度は粗粉砕機、微粉砕機で差はなく、バインダー添加で粘度変化はありませんが吐出量低下と圧力上昇が生じることがあります。

湿潤原料の微粒子化による低粘度化

軽質炭酸カルシウムや水酸化アルミニウムなどの反応工程を経て作られた湿潤原料は、ビーズミルで微粉砕すると初期の段階で低粘度になります。
軽質炭酸カルシウムは石灰石を焼成して熱分解反応を起こさせ酸化カルシウムとします。この酸化カルシウムに水を加えて水酸化カルシウムとした後、炭酸ガスを吹き込んで炭酸化すると軽質炭酸カルシウムになります。製造工程では温度上昇制限そのほかの目的でスラリーの固形分濃度はかなり低くしていますが、ビーズミル処理の段階では脱水されてケーキ状態になっています。
この湿潤ケーキに若干の水を加え、分散剤を添加してスラリーを調合しますが、粘度は0.5~0.8Pa・sとなります。このスラリーをビーズミルで処理すると粘度は1パス処理で0.1Pa・sを下回ります。この湿潤原料は粒子結合部分に存在した液体が、微粒子化によって粒子外に取り出されるからです。2パス以降の処理では粘度は高くなります。乾燥している粉体ではプレミキシング操作の段階で、粒子の毛細管内に存在した気体が液体に置換されますがこのようなことはありません。

微粒子化による物質分離の影響

石灰石のような天然物を微粒子化すると、主成分の炭酸カルシウム以外の物質が微粒子化によって分離独立します。数ミクロンの段階ではスラリー化しても白色ですが、サブミクロン領域になると主成分以外の微粒子によって着色されます。カーボンを含有している場合は黒色のスラリーとなります。

天然物は産地により粉砕条件が異なる

石灰石のような天然物を粉砕すると産地によって粉砕速度や発熱量に違いがあります。
重質炭酸カルシウムの粉砕で、粉砕速度が通常の重質炭酸カルシウムの粉砕に比べて約1.5倍も早い原料がありましたが、粉砕によって発生する熱量は、通常の重質炭酸カルシウムの発熱量に対して著しく大きくなりました。

ビーズの摩耗による影響

ビーズの摩耗によって起きる性能低下、機械構造に及ぼす影響、処理物に対するコンタミネーションなど、ビーズの摩耗によってさまざまな影響が出てきます。
ビーズの摩耗により性能低下や機械構造に及ぼす影響については、生産機として導入された後から問題となるケースが多いです。
ミル内のビーズは、ビーズ同士の衝突、摩擦などによって摩耗します。ビーズは運転時間の経過とともに小径化します。このビーズの小径化が粉砕性能低下、ギャップセパレーターの破損、スクリーン部の目詰まりやビーズの流出となります。

高固形分濃度スラリーの塊

重質炭酸カルシウムの粉砕で、固形分濃度が75wt%の高濃度スラリーに対して、各種のディスク形状と粉砕効率の関係を知るための実験を行った時の現象です。 小型機のデータを基に大型機にスケールアップしたところ、小型機では生じない現象としてディスクとディスクの間にスラリーとビーズによってドーナツ状の塊が形成されました。この塊はディスクとディスクの中間部分で、ディスクの回転による遠心力の伝達が小さい部分に生じました。

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ビーズミルのトラブル集3:設計

チラーユニットの能力不足、混合溶剤によるOリングの劣化、など。

ビーズミルトラブル集4:単純ミス

通水忘れ、認識不足、ビーズ量の不足、高粘度でテストが不可能、など。

ビーズミルトラブル集1:運転操作

単純な機械なため、きちんと対策を取れば非常に効率の良い処理が可能です。

<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会


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