ナノ分散の事例~過分散~
過分散が起こっている事例(酸化チタン)
同じビーズ径で周速を2種類処理した例です。
処理物 | 酸化チタン水系スラリー10wt% |
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ビーズ | φ0.1mmジルコニアビーズ |
ディスク回転数 | 2000rpm(11.3m/s) 1500rpm(8.5m/s) |
通例ですと周速が高い方が粒子径は小さくなりますが、今回の事例では、周速が高い方がD90の粒子径は大きくなっています。これが、「過分散」と呼ばれる現象です。これは過度の強度が悪影響を及ぼす一例です。よって、ナノ分散では「低周速」「小径ビーズ」が使われることが多くなります。
この事例で重要なことは、周速違いで2点データを取っているからこそ「過分散」と判断できたことです。 一般的には、D90の粒子径が大きいことから、粉砕強度が足りないのでは?という判断もできます。ただ、今回の場合もしも粉砕強度が足りないのであれば、ディスク回転数1500rpm(青)のプロットが、2000rpm(赤)のプロットの上にいくはずです。実際は逆転していて、 粉砕強度が小さい1500rpmの方が粒子径は小さくなっています。このような結果から、粉砕強度が足りないのではなく「過分散」が起こっていた、と判断できます。
もし、回転数を1500rpmでしか処理していなかったら、過分散と推測することはできなかったでしょう。このようにビーズミル処理では、1条件のみならず、周速やビーズ径を替えるなど様々な条件で実験することが肝要です。
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