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遠心効果Zとスケールアップ

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遠心効果Zとスケールアップ

撹拌機構の径と遠心効果Z

撹拌機構の先端における周速がビーズミルの運転条件を決定する重要な因子でありますが、径が大きくなると回転数が少なくなり、遠心効果が低下するのでビーズのエネルギーは小さくなります。
遠心効果Zは遠心力場の大きさを示す尺度として、遠心力と重力の比が用いられ、以下のように表されます。

計算式

粉砕室の長い竪型ミルは、撹拌機構の径が小さく回転数が多くなりますが、粉砕室の短い横型ミルは撹拌機構の径が大きくなり回転数が小さくなります。したがって、同じ容量の竪型ミルと横型ミルでは竪型ミルの遠心効果が大きいです。これによってビーズに与えるエネルギーは竪型ミルが大きくなることから、粉砕力は横型ミルよりも大きくなります。

遠心効果Zは、スケールアップの重要な因子です。ディスクやローターの周速を同一とした時、回転体の径に対して遠心効果は、以下の表のような差がでます。

▼小型機・大型機の遠心効果Zの違い

比較項目 小型機 中型機 大型機 小型機・大型機のZを同等 小型機・大型機のZを同等
回転体径 100mmφ 250mmφ 400mmφ 250mmφ 400mmφ
周速 10m/sec 10m/sec 10m/sec 15.8m/sec 20.0m/sec
回転数 1,910rpm 764rpm 478rpm 1208rpm 955rpm
遠心効果Z 204 81 51 204 204

表によれば、中型機、大型機の遠心効果を小型機と同等とするには中型機の回転数は1208rpm、周速が15.8m/secとなり、大型機の回転数は955rpm、周速が20.0m/secとなります。中型機、大型機ともに発熱量、動力ともに非常に大きくなります。
実際にはこのような周速や回転数の大幅なアップは行われません。撹拌機構の周速は粉砕処理物の品質に対して無視できない要素の1つでもあり、筆者の経験ではテスト機の周速に対して大型機の周速アップは30~35%が上限になります。

遠心効果とスケールアップ

スケールアップデータはビーズミルメーカーそれぞれのノウハウであり、公表されていません。スケールアップで粉砕効率の低下値を小さくするとミルは小型で済みますが、生産能力が設計値を満足できない時には致命的なトラブルとなります。
撹拌機構の先端周速を同一とした場合、ミルが大きくなると回転数が低下するので、ビーズの運動エネルギーが小さくなって粉砕効率は低下します。遠心効果の低下と効率低下はほぼ一致します。ミルの大型化に伴って遠心効果とスケールアップによる効率低下の関係を下図に示します。遠心効果はスケールアップを行う際に有効な指針となります。スケールアップで粉砕効率が100%ということはあり得ません。

【ミルの遠心効果と粉砕効果】
ミルの遠心効果と粉砕効果

スケールアップのデータに、1972年に公表されたデュポン社と、五十嵐機械製造(現アイメックス)の竪型サンドグラインダーのデータがあります。

【サンドグラインダーの型式別吐出量】
サンドグラインダーの型式別吐出量

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望ましいスケールアップのステップは、粉砕室容量が小型機の10~15倍の機械で確認テストを行うこと

<引用・参考文献>
中山勉:「超微粒子・ナノ粒子をつくる ビーズミル」,工業調査会


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